そして僕を手放さずにいて

アイドルオタクのときめき備忘録

私の「チュベローズで待ってる」の余韻

2018年の年始休みの間に読もうと帰省の荷物に詰め込んだ「チュベローズで待ってる」

私は人並みに読書が好きで、休日になると気合を入れて長編小説を読むことにしている。普段は仕事やらなんやらに支障をきたすので長編小説は避けている。なぜなら日常生活を放置するから。おお、シンプル。そんな私が購入してから「早く連休にならないかな」とわくわくと開いた加藤シゲアキ先生の新刊だった。

 

私は加藤シゲアキ先生の作品の魅力のひとつが「都会性とその狂気」だと思っている。本人が少年時代から渋谷に親しんでいることも相まって、そのリアリティある作風は魅力的で登場人物と実際にやりとりをしているような気分になる。主人公に感情移入するというよりは、個人的には「自分自身のまま」やりとりをしている感覚。

 

ざっくりとした新刊の感想は「呆気にとられた」に尽きる。「そう来る?」「今度はそう来ます?」の連続。まず最初の設定から面白すぎる。「就活に失敗してホストになる」なんとまあ、面白くないわけがない。ラストまで「呆気にとられた」ことの連続で、本当に「とりあえず最後まで読んでほしい」作品。どうしたらその発想ができるのか。この人は本当にすごいぞ。

 

前知識がなかったのでいろいろを調べてみると、サラリーマン向け雑誌での連載をまとめたものだったそうで、なるほど、どおりで細かな波が多くてスピード感のある展開だったなあと。上下巻二冊組の新刊とはいえあっという間に読めてしまう。時間軸が10年移動したとしてもそれを感じないほど。というか社会人になってからは時の流れが異様に早いので、読者対象の方々からしたらごく自然な時の流れだと思う。

 

そうそう、私が思う加藤シゲアキ先生の魅力のもう一つが「タイトルのセンスがとてもよい」だった。過去の作品はもちろんのこと、今作もしかり。「チュベローズで待ってる」初見ではなんのことかわからない。「チュベローズってなんだ」から始まり、花の名前だと知り、読み進めるとそれが主人公が勤めるホストクラブの店名だとわかる。そしてラストでなんというタイトルなんだと、放心する。一人称が誰なのか分かったときの放心。

ただの作品紹介でもおしゃれなわけでもない、でも象徴する言葉をセレクトするセンスの良さたるや。さすがセンスの良いグループの人。(雑)NEWSって色々と作品のセンス良いよね。逸れた。

 

さて、書評を書くつもりは毛頭なくて、ネタバレをするつもりもなくて、そうなるとつまりなにも書き残せないのだけど、とりあえず今作もとにかく面白かった。小説家デビューをされた最初は興味本位での選択だったけれど、だんだんと「一作家として新作が素直に楽しみな作家」の一人になっている。その信頼がもうすでに出来上がっていて、読み終わってから日が浅い今でもすでに「新作が楽しみ」と思っている。その関係性を読者と作品を通して築けている加藤シゲアキ先生は、もっともっと売れてほしいし、評価されてほしい。なんという上から目線。

 

ただ単純に読み終えてからのこの言い尽くせない感覚を書き残したくてブログを開いてみたものの、全くうまいこと書けない。だから加藤先生はすごい。彼が担当だぜって人はもっと自慢していい。多種多様なタレントを抱えた事務所の中でも脅威の一人。本当にすごい。

 

個人的には一般人の友人にまず読んでほしい加藤作品。これまでの作品もとても良いのは変わりないけれど、加藤シゲアキ先生の世界に引き込むなら今作が一番かなと思う。例えあらすじをネタバレして伝えたとしても、面白そうだと食いついてくる人間がかなり多いと思う。

 

既読の友人たちは機会があれば語りつくしましょう。

ほろ酔いになってきたのでもうやめます。

一人宅飲みするとブログ書きだすのやめたい。

でもその時間も好きだから無理かも。