そして僕を手放さずにいて

アイドルオタクのときめき備忘録

ギア-GEAR-を目撃してきた

「すごいものを目にしてしまった」

劇場を出て寒空の下に出たときに、喧騒の中でそう思った。

ノンバーバルパフォーマンス「ギア」を観劇…いや、目撃してきた。

 

コンビニで数年前にフライヤーを見てから「いつか行こう」と先延ばしにしてきた観劇だった。今年の目標の「観劇回数を増やす」キャンペーン第一弾。「やりたいことは最短で実行しよう」と居酒屋の帰りにローチケの発券に飛び込んだ。コンビニが24時間営業で本当に良かった。

 

これは観劇ではない、目撃だ、とラスト近く、ドールのシーンで思った。

それほどの衝撃だった。

 

各方面のプロがロボロイド四人とドール、それぞれのパートを演じる。

…簡潔に説明するのは苦手なのでとにかく以下の公式ホームページへ。

京都の感動エンターテイメント ギア-GEAR-

セリフのない舞台だが、息つく暇のないほど観客は次の展開を待ちわび、好奇心が次から次へと湧いてくる。言葉がないからこそ、私たちは演者から目が離せなくなる。そして目が離せなくなるほど、演者のスキルが高い。気づいたときには観客席の人々が好奇心旺盛な子供に戻っている。たくさん笑い、たくさん驚き、たくさんの感情を「まるでそれらの感情を初めて知ったかのような感覚で」それぞれ手に持っている。いつのまにかどこかに置き忘れた「生きる喜び」をドールやロボロイドを通して新たに自分自身に落とし込まれた気分だった。

 

まだ目撃したことのない人には「何も考えずにとりあえずあの場に存在して、目の当たりにしてほしい」と言いたい。がちがちに前情報を入れずに「なんか京都の劇場ですごいことやってるらしいぜ」くらいのノリで行ってほしい。だからここでもあらすじ等は公式のホームページのリンクを貼るくらいでとどめたい。

 

ただ抽象的に感想を述べるとするなら、「白が一番輝いているかもしれない」ということ。あるシーンになったときに、きっと気づいてもらえると思う。本当はもっともっと細かいところまで「あそこはこう思った」「めちゃくちゃ笑った」「びっくりした」と言い尽くしたいのだけど、そうじゃない、ネタバレするものじゃなくて、とにかく目撃してほしいと思った。

 

これまで微々たるものではあるが、いろいろな舞台を観てきた。いろいろなことを感じ、それぞれ考えさせられたけれど、「あ、私、生きてたわ」と冬の曇り空を見上げながら思った舞台は初めてだった。「そういえば、忘れていたけれど、私生きていたな」と。

 

きっと回数を重ねたり、違う演者の違うパフォーマンスを観たりしたら、自分を投影する対象が変わって、違う感想を抱くのでしょう。次はいつにしようとスケジュールを確認する連休二日目の夜更かしでした。京都観光の際は、ぜひ。