そして僕を手放さずにいて

アイドルオタクのときめき備忘録

かつて存在に名前を付けてくれた渋谷すばるという人の話

何度目覚めてもそれは決して夢ではなかった。

むしろ目覚めるたびにまざまざと現実であるということを認める気分だった。

 

私の青春と私の中の自由は一つのピースを失うことになった。

関ジャニ∞から渋谷すばるが姿を消すことなど、誰が想像しただろう。

 

私はもうすでに「エイター」と名乗れるような存在ではなく、「かつてエイターと呼ばれた者」くらいの存在なのだけれど、エイターであった頃が自分の中のオタクの基盤であり、今現在親しくしているオタクの友人たちの大半がエイターもしくはそれを通過してきた者たちだ。それまで交わることがなくても、同じグループを好きでいるという共通項が何年も私たちを繋ぎ続けている。

 

私たちの存在は渋谷すばるによって名前が付けられた。

それは同じ時間を共に過ごし、楽しみ、同じ音楽を聴き、同じことでお腹を抱えて笑い、人情に泣き、でも最後には笑って「最高で最強」と別れる名のない私たちに、一つのアイデンティティを与えるものだった。

名づけるということはそれはそれは責任の重いもので、ファンにとってはアイデンティティでもありステータスでもあった。悪い言い方にすればある種の束縛であり呪縛であった。でも後者になることはないくらい、彼らはいつでも真摯で溌剌としていて、名のないオタクにアイデンティティを与えてしまうという重い責任も軽々とこなしていた。

 

そんな名付け親がグループを去るという衝撃を、私は阪急電車の中で受けることになった。数日前のスクープ記事は1ミリも信用せず「いやだって、すばさんだぜ?すばさんが辞めるわけないやん」くらいの感覚だった。この圧倒的信頼感。「会見するなんて、本当みたいじゃん」なんて思いながら電車が停まったのは高槻市で「ヒナちゃん大丈夫かいね」なんてふわふわした感覚だった。

 

私はかれこれ10年ほど錦戸担だったので「グループを去る者側のファン」の経験もしたし、同様に上田担でもあったので「グループに残る者側のファン」の経験もしているが、まあいつまで経っても慣れないし心苦しい。いまやSMAPが分裂するような世界なので、なにが起きてもおかしくはないだろうとはわかっている。頭ではわかっている。でも、それでも、それでも寂しくて、悲しくて、これまでのすべてを置き去りにしても追うものはなんなのか、ついつい考えてしまう。でも私たちを繋ぎとめてくれた素敵な人が、最強な才能を手にしていて、最高を目指したいという夢を抱いたのなら、きっとそれはもう、それこそもう、メンバーも背中を押すしかなかったんだと思う。頭では分かっていても寂しさは湯水のように溢れかえるし、曲を聴くたびに虚無感に苛まれる。それを昨日から延々と繰り返している。

 

グループの真ん中には三馬鹿の年長三人が居て、三人がいたから関ジャニ∞関ジャニ∞だった。年下のメンバーはいつまでも年長三人のことを尊敬し続けていくし、年長三人は年下のメンバーのことを慈愛に満ちた眼差しを向け続けていくものだと思っていた。そんななか、村上信五がさらりと「村上信五」として言った「おさななじみ」という言葉は、これ以上のない関係性を表した言葉だったと思う。彼にとって渋谷すばるとはメンバー以前の問題で、確かにおさななじみという存在だった。

 

私はまだ受け入れられていない。エイターを通過してしまった私でさえ受け入れられないのだから、きっと現役のみなさんは言い表せないくらい取り乱しているだろう。すぐになんて受け入れることは出来ないもので、それでもファンは虚無感を抱えたまま、ついていくしかないんです。ただただ、時間を重ねて、寂しさを紛らわせるしか、きっとないんです。終着地点を見つけられなかったくせに、酔った勢いでつらつらと書き連ねましたが、きっといつかまた、一緒に歌ってくれると信じて、背中を押すしかないんでしょう。

 

今度はきっと、自分自身に名前を与えるのであろう彼に。

幸多からんことを、祈って。

 

アイドルオタクの普段使いコスメ○2018春

ただの自分用の記録でございます。

知ってる人のメイク道具とかポーチの中身とか鞄の中身とか見るのとっても好きなので、なんとなくやりたくなりました。(笑)

 

○基本情報○

職業はクリニックの事務とコンビニ店員の掛け持ち。後者は超自由なので割愛して、ここからは前者の受付事務の仕事のときのメイクについて書いていきます。職場で言われているのは「派手でないこと」と「健康的であること」くらいです。夏以外仕事中はマスクを着用しています。

 

○ベースメイク○

キス マットシフォンUVホワイトニングベースN01 ライト 37g https://www.amazon.co.jp/dp/B01N1RR7LL/ref=cm_sw_r_cp_api_CPmYAb9BA587R

マット肌がとっても好きです。マット肌にしたくて色々試して今はこちらを使用しています。可もなく不可もなくという感じかなぁ。

夏場はこちらです。

セザンヌ 皮脂テカリ防止下地 https://www.amazon.co.jp/dp/B00TESOQCC/ref=cm_sw_r_cp_api_lTmYAbS3HP57D

これはコスパ最強で最高の仕上がりです。冬場の乾燥シーズン以外はこちら。新作も出たから早く使いたいな〜!

 

レブロン カラーステイメイクアップD150 https://www.amazon.co.jp/dp/B00OXDE1PA/ref=cm_sw_r_cp_api_1UmYAb5A21JHP

昔から赤ら顔がコンプレックスなのでファンデはリキッド派です。コンプレックスがあるのでカバー力ないと絶対嫌な人です。そしてそんなコンプレックスを感じないくらいこいつはすごい。コスパも持ちも良くてカラバリも豊富で嬉しい。何本目か分からないくらいリピートしています。浮気しない。愛してる。

 

キャンメイク マシュマロフィニッシュパウダーML マットライトオークル 10g https://www.amazon.co.jp/dp/B01N2VT6WY/ref=cm_sw_r_cp_api_8ZmYAbZ3KEMJQ

みなさん経験ありませんか?持ち運びポーチの中でパウダーぶちまけた経験。私はある。十代の頃それをして以来大人になってもプチプラパウダーしか持ち運ばなくなりました。まだ許せるから。そしてその中で出会ったこの人最高です。これも浮気しない。マット肌派はマストです。教えてくれた某お姉様ありがとう。パウダーと同じくらい愛してる。

 

チークは使用期限無視して大学生の頃から使ってるので出てこなかったけど、インテグレートのピンク系のものを使ってます。超ベーシック。単に残ってるから使っています。何年ものなのかもはや分からない…。まぁ職業柄冬からマスク生活なのでほぼチークしてないけど…。

 

○アイメイク○

キャンメイク ミックスアイブロウ 04 グレイッシュブラウン 2g https://www.amazon.co.jp/dp/B01MU2J9ZT/ref=cm_sw_r_cp_api_V9mYAb1S62FR7

自眉がしっかりあるのでパウダーでぼかしたり書き足したりするくらいです。これもなかなか減りません(笑)

 

エクセル スキニーリッチシャドウ SR01 ベージュブラウン https://www.amazon.co.jp/dp/B015FG6RXM/ref=cm_sw_r_cp_api_NanYAbCH2945A

仕事用はもっぱらこちら。年上受けがとてもいい。個人的な話なんですけど、エクセルのシャドウ使ってるときメイク褒められたり「なんか今日いい感じだね」とかよく言われるんです。嬉しい。シャドウに迷ったらエクセル買いましょう。使用感だけでなく褒め言葉も含めてコスパ最強。

 

アイメイクはシャドウしてビューラーだけのことがほとんど。マスカラとラインはサボってます(笑)対面するのが年配の方ばかりなので気合は入れません。

 

○リップ○

リップ大好きなんですが、マスク着用するので無色もしくは薄ピンクのリップクリームをサッと塗るくらいです。

DHC エクストラモイスチュア リップクリーム 1.5g https://www.amazon.co.jp/dp/B00MTDKODY/ref=cm_sw_r_cp_api_jnnYAbMRAWJDY

ほぼこれです。私寝る前もこれです。高校生の頃からDHCのリップをうろうろ使ってます。

 

こんなもんですかねぇ。プライベートでおめかしして出掛けるときは服装などに合わせて色々変えるのが大好きなのですが、完全に「健康的できちんと見えて年上受け(特にお年寄り受け)がよい」ことだけを考えたメイクです。

 

これ誰が楽しいのかな?私は楽しかったから良いということにします。

「坂道のアポロン」の臨場感の話

私は長崎がとても好きだ。

初めて行ったのが高校の修学旅行で、そこから街の持つ多様な異国感がとても好きだ。

あまりにも好きが募りすぎて、大学の卒業旅行でも、周囲が海外に飛ぶなか春松竹の合間に長崎にみっちり三泊した過去がある。帰りの空港で友人に「帰りたくない、長崎の猫になりたい」と駄々をこね、冷ややかな眼差しを向けられたことも記憶している。

 

さて私は先日、久々の一人映画を堪能してきた。作品は「坂道のアポロン」。制作が公表された段階から「絶対に好き」と思い、見たい映画リスト入りさせていたのだが、公開早々に足を運んだのはやはり先日のJr.祭りの余韻が残っているからだと思う。あの三木監督に撮られる松村北斗って絶対いいよな、という軽率さ。いいんだ、軽率こそオタクの素質。

 

まず言う。これは映画館の音響の元で観るべき映画です。

各演奏シーンの感動、特に文化祭でのセッションの迫力と熱量はまるでライブのような臨場感。

素直に飾らないむき出しのセッションがとてつもなくかっこいい。

これを映画館の良質な音響の下で観なかったら後悔すると思う。

 

出演者の方々の瑞々しさと強い眼光がまた魅力的でもあります。

主な出演者は高校生チームと大学生チームの大きく二つ。

それぞれの感性の差異が物語のカギを担うと私は思っていて、どちらも意思の強い眼差しには違いないのだけれど、向ける対象や方向性などの差異があって、そこに言いようのない「年齢差」や「成熟の差」が感じられます。いやあ、俳優さんてすごい。

 

鑑賞後に色々な方々の感想を眺めていて気付いたのは、しっかりと明言はされていない「戦争の影」という部分。主要メンバーの千太郎が在日米軍の二世という役であるだけでなく、随所にさらりとさも当たり前かのようにちりばめられたそれらが、10代独特のもの悲しさに拍車をかけているように思う。実際に長崎に訪れたときにも感じたことだが、遠方から「平和学習」と称してそれこそ「修学旅行」する他府県の者とは違い、現地の人々にとってそれらの「戦争の影」というものはあくまでも「日常にある悲しみ」のひとつであって、いい意味でそれらが過去のものではない、風化されていない雰囲気がある。そのある種の臨場感が、確かに作品のなかにはあった。

時代背景が60年代であること、舞台が長崎であること、学生運動に参加しているキーパーソンがいること、そして「ジャズ」がそれらを繋いでいること。わざと見えないように忍ばせているのではなく「当たり前に戦争の影はそこに存在している」という部分があるからこそ、自由に生きる選択をする葛藤や悩み、そして強さが引き立っているのではと思った。なんと偉そうな文面。でもどことなく感じていた「言いようのないやるせなさ」「言い尽くしがたい虚無感」という空気感はきっと、ただよう「戦争の影」からくるものが大きいのだと思う。そしてそれをぶち壊すようなジャズセッションがより清々しい。最高。

 

想像していたよりもはるかに素敵な作品で、劇中の音楽を調べて突発的に無限ループするという副作用に悩まされている。そしてこれを書きながら二度目の鑑賞に行くかどうか悩んでいたりもする。ジャニオタなので同じ公演に何度も通うことに一切のためらいもない私は「一公演二千円切って自由に場所が選べる完全指定席って安すぎでは…」と思い始めた。文字に起こすと確かにそうだ、安い、安すぎる。

 

なんやかんや言いましたが、「坂道のアポロン」とても懐かしく、素敵な映画です。

あのセッションを是非体感してもらいたい。

あと、それから、長崎と雨の親和性が最高です。

あのシーンで土砂降り、ベタかもしれない、でも長崎なら大丈夫。

そのあとの雨上がりのシーンも好きです。

答え合わせはぜひ劇場で。

Jr.祭り2018大阪公演にお邪魔した。そして今Love-tuneの沼にいます。

とっても今更ですが、部外者なんですが、先日Jr.祭り2018にお邪魔してきました。

びっくりしたんだけど、もう二週間以上経ったんですか。どうしよう、あっという間におばあちゃんになっちゃう!!!!!!!

 

さてさて、ふぉ~ゆ~担の私。実はかれこれ三年ほど前、Love-tune結成前の長妻怜央の沼に沈没していました。圧倒的にお顔がかわいくて好きです。(シンプル)Jr.祭りの大阪公演の案内が来たとき、久しぶりに姿を拝みたいな~♪ととりあえず応募しました。わお、軽率!

 

友人の影響もあり、出演メンバー全員の名前やだいたいの性格等は認識していましたが、いかんせん持ち合わせた知識は滝チャンネルが基本なので、致命的に各グループの持ち歌を知らない状態でした。当選が決まってからひたすら少クラ観まくりました。もはやBGM。

 

そして本番に臨んだんですが、過去ツイから見ると率直な感想は「超超超超楽しかったーーーー!!!!!!」でした。いや、でもほんとにそう。びっくりするくらい楽しかった。

 

四つのグループが互いを打ち消すことなく独立してパフォーマンスができるので、初見の私みたいなオタクは1秒も飽きることがありませんでした。まるでテーマパーク。簡単に「互いを打ち消すことなく独立」って言うけど、それって実はすごく難しいことで、互いに陥れることなく高めあっているから成立するものなんですよね。それって今の東京Jr.の特徴的な要素かなって、部外者のオタクは思います。

 

まず、かねてからずっと思っていたんですけど、安井謙太郎の信頼感すごい。安井さんほど見てて安心できるJr.います????????逆にMCで安井さんがいなかったらと思うと恐怖ですよね、あの人数。同い年だからっていうのもあると思うんですけどね。個人的に烈火で三味線のバチを掴む手が超絶オスで一瞬だけ恋に落ちた。なにあの大切そうに触れたのに絶対手放すまいとガッとつかむのずるくない?

 

あとびっくりしたことなんですけど、川島如恵留さんの歌声って、すっごく甘くて素敵なんですね…!たまげました。たまげて終わってから結構早い段階でつぶやいたんだけど、あの歌声は会場全体が「ふわ~!」って感嘆の声に包まれていたので、のえ担ものえたんももっと自慢して歩いていいと思う!!!!!!!!!あの声で「春だよ~」って言ったら、冬も勘違いして春になると思う。

 

すごく頭の悪そうなこと言うと、私後から振り返って「あれ、Snowmanのパフォーマンスは覚えてるのに、個人になるとほとんど覚えてない…」と思ったんですね。わかったんです!!!!!!!Snowmanの全員のパフォーマンスが大胆で全体像を見逃すまいと必死だったんですよ。つまり見るのに必死だったという…!「すのなにが起こってるかちょっとよくわからなかったけど、なんかとにかくすごかった」が感想です。

 

SixTONESのみなさんのMCは、ろくーん時代からのカツン担だった私はこっそり古傷が痛みました。古傷がちくちくしましたがそういう人たちにかつてときめいていたので「いかついあんちゃんたちかわいいなあ」という仏の眼差しでした。あとJAPONICA STYLEの花道歩く移動時間の北ジェにときめき大爆発でした。なにあれ!!!!ノールックの小道具の受け渡し!!!!!なにあれ!!!!!!!!好き!!!!!!!!軽率に好き!!!!!!!!!

 

あと言い出したらキリがないくらいちまちまとした萌えが大量にあるんですけど、総括すると「なんかすごい楽しいことの渦のなかに飛び込んでしまった」というのが最終的な感想です。

 

この感覚どこかで覚えがあるな…とここ半月考えていたんですけど、ジャニーズWESTデビュー前の関西Jr.の雰囲気に似てるな、と気づきました。全国ツアーとかの頃。渦の中に入ったら最後、次の渦にバトンが渡るまで次から次へと楽しいことが舞い込んでくる感覚。向かい風の感覚。その感覚が私の中にまた巻き起こっていて、今すごく楽しいです。楽しすぎて一日に三回はリボルバー回してます。(言い方)楽しすぎて買う気なかったはずなのにカレンダー買いましたよ。げんげんと萩ちゃんと怜央の写真可愛すぎて、あの写真撮ったカメラマンに嫉妬した…ずるい…

 

軽率に「久しぶりに生の怜央ちゃん見たいな~らぶになってからの怜央ちゃんは生で見てないもんな~大阪来てくれるし~」という理由で行った祭りでしたが、終わってからあれよあれよと「え、ていうからぶって最高じゃない?」「謙ちゃんがいたら安心して任せられるね(飲み物の管理含む)」と、すっかりらぶの沼でぬくぬくしています。軽率に横アリにも行きたいけど、残念なことに私は休みがなかった。悲しみ。生霊飛ばす…

 

今思うと、本当に行ってよかった!楽しいことの傍観者にならずに済んでうれしいです。楽しいとわかってる渦には巻きこまれたもん勝ちだな、と思っています。

 

さてその「楽しいとわかってる渦には巻きこまれたもん勝ち」ということなんですが、ついにふぉ~ゆ~のFCが独立しました~!!!!!歓喜!!!!!みなさんふぉ~ゆ~のことご存知でなくても、よかったらご登録を~!!!!!こちらのおじさんたちも、祭りの人たちに負けず劣らず楽しい渦を作って待ってま~~~す!!!!

春松竹とさくらラテ

唐突だが、現場のときに食べる食事がとても好きだ。

どのお酒の場よりも、現場の後に飲むお酒が一番おいしい。

オタク同士だと話題がハッピーでピースフルで結論が全て「尊い」と「好き」に集結するのもポジティブで後味がよくて最高だ。

私は数年前までエイターだったこともあり、かなり高頻度で現場後に鳥貴族にお邪魔していて、現場後のサングリアと焼き鳥は格別だといつも思っている。

 

さて、気づいたら片想い…ではなく三月になった。

このどこか浮足だった、けれど少し寂しさを纏った空気は三月特有のもので、もれなく私も少し寂しくなってしまう。そしてこの時期が近づくと決まってある知らせが来る。スターバックスからの、さくらシリーズの発売情報。ある時からはたと飲まなくなった。

 

さくらラテをよく現場前に飲んでいた。現場前独特の緊張感から湧かない食欲や、まだ少し肌寒いことから、昼食代わりに大阪松竹座近くのスターバックスでよく購入していた。言わずもがな春松竹のシーズンで、当時大学生だった私は休日のほとんどの時間を難波で過ごしていた。言ってしまえばチケットが手元にある日が全部休日みたいなものだった。行けば誰かが居て、単純に楽しくて、三月に寂しさなんて感じない時期だった。

 

私が大学を卒業して、地元の田舎にこもり、絶賛人生に迷走していた年の春松竹で、担当が卒業した。一般人とか関係なく、ブログは名前が残るからとか関係なく、しっかりと記すけれど、あのとき、私の担当であった金内柊真は関西ジュニアから卒業をした。

 

自分は何をしているんだと思った。

就活で家族と揉め、ただ流されて、なんとなく実家に戻ることになり、けれどもともと馴染めていなかった地元なのでひたすら窮屈で、どう地元を離れるかしか考えていなかった時期に、私の担当は退所した。

アルバイトで品出しをしながら涙をこらえ、帰りに食事をしながら長い長い最後のファンレターを書いた。初めてファンレターを書いた相手だった。それまであった彼への感謝を「最後だから」と照れずに全て書いた。いや、照れたけど書いた。

書き終わったファンレターをその足で郵便局へ持参し、速達で送った。その帰りにスターバックスがあった。けれどさくらシリーズはもうなかった。私の春はもうどこにもなかった。

 

今年も変わらずさくらシリーズが発表され、もはや今は新シリーズの展開が始まっている。あの時以来、飲むと悲しくなるからと大好きなさくらラテを飲めずにいた。

でも先日ふと思い立ち、仕事帰りにスタバに寄り道を敢行、実に四年ぶりに口にした。相変わらずおいしくて、華やかで、でも泣いてしまった。大通りとはいえ夜道を、スタバ片手に泣きながら歩いて帰った。「ああ、あの時は楽しかったなあ」といろいろ思い返しながら、最後の一口を飲み終えるときに、「ああ、私大好きだったんだなあ」と思った。ここまで来るのはすごく長かったけれど、きっと私はようやく受け入れられたんだと思う。ようやく終わりにできたんだと思う。

 

「私、今も最高に幸せだけど、あのころだって最高に幸せだったんだよ」と、ようやくそれぞれの感情を同時に認められるようになった気がする。

 

思い出って五感に寄り添っているもので、ふとしたときに起因となって呼び覚まされるもので、味覚もそのひとつで。きっとこれから先いろいろなものをいろいろな人と食べたり飲んだりすると思うけれど、現場の思い出の味は一つ残らずおいしくて楽しいものになればいいなあ。これからどんなおいしいものを口にしながら、大好きな人たちから幸せをもらうのかと思うとわくわくしてくる。春はまだまだこれからで、私の大好きな人たちは今、ステージに立ってくれている。私は今、最高に幸せだ。

「伊藤万理華」という「印象」

真っ赤な口紅がずっと脳裏に焼き付いている。

マットな、ざらつきのある口紅が、毒々しく唇と肌を染めていく様が。

 

昨年11月末に京都・北野天満宮で開催されていた「伊藤万理華の脳内博覧会」の会場で流れていた映像が、このたび乃木坂46の公式YouTubeチャンネルで公開された。私が博覧会会場の映像コーナーに入室したときにはちょうど「トイ」が流れていて、伊藤万理華さんが鏡の中の自身に向かって「…見んなよ」と吐き捨て、真っ赤な口紅をぐりぐりと塗り付けるところだった。入室早々見んなよとは言われたが、その独特な世界観にのめり込むようにして何度も見入ることになった。その時の真っ赤な口紅の色味やざらつきのある質感が異様に生々しく、今でも口紅を繰り出すときに脳裏をよぎるほど、私の中にこびりついている。私は万理華さんの世界観が大好きだ。

伊藤万理華 『トイ』 - YouTube

私の中で「乃木坂46」のイメージのひとつとして「質感」という概念が薄かったりする。どこか浮世離れしているような、一枚ベールを纏っているかのような、生々しい人間くさい「質感」を感じないイメージがある。それが俗に言う「綺麗」や「清潔感」に通ずるのかもしれない。けれどその時その空間にあった「伊藤万理華」という人には明確な質感があった。ざらつきも、べたつきも、愚かさや浅はかさなどの人間くささも確かにそこに感じられた。ああ、こういう形で彼女の脳内にいるのかと我に返る場面だった。我に返るというか、呆気にとられると言うほうが近いのかもしれない。

 

そして「トイ」と合わせて流れていたのは「はじまりか、」だった。卒業を前にした万理華さんの総集編と言えるような内容の作品で、毎回万理華さんの個人MVを楽しみにしていた私は歌詞の中に出てくるこれまでの個人MVの歌詞をピックアップしては嬉々としていた。けれど曲が進み、視聴回数を重ねるうちに、だんだんと万理華さんのファンの方がうらやましいと思うようになった。「なんとオタク冥利につきる相手なんだ」と感激した。

伊藤万理華 『はじまりか、』 - YouTube

様々なアイドルを見ていて、応援していて、正直迷うときも何度もある。

応援している相手が突然やめてしまうこともあったし、転職することもあった。

果たして彼ら、彼女らは何を思っていたのかと、考えてもしょうがないことをふと考えることもいまだにある。今もステージに立ち続けていたら、彼らの夢は叶っていたのだろうかとも思う。考えても仕方ないことだし、正解はないのだけれど。

 

でも「はじまりか、」を歌い踊る姿を眺めているうちに「そう思ってもらえてたらうれしいなあ」と思うようになったし、今応援している人たちにも変わらず声をかけていきたい、いやかけていかなくてはと思うようになった。

畑は全く違うけれど、ジャニーズJr.のオタクは共感性が強いと思ってる。後列ばかり見てしまう習性の人はぜひ繰り返し見てじわじわと実感してほしい。「万理華さんがきっとアイドルの立場を代弁してくれているんだな」と思ってほしい。まあ半分こちらの願望めいたところはあるんだけれど、その余白を作ってくれるのがある種救いだと私は思います。

 

本当に素敵な作品なので、お時間のあるときにいろんな人たちに見てほしいなあ。

私はようやくお給料日になるので万理華さんの写真集をお迎えに行こうかと思います。

楽しみだ。伊藤万理華さんのこれからが、とっても楽しみだ。

これから、何を見せてくれるのか、とっても楽しみだ。

 

 伊藤万理華写真集 エトランゼ https://www.amazon.co.jp/dp/4797673516/ref=cm_sw_r_cp_api_4nUJAb1C6D6YB

ギア-GEAR-を目撃してきた

「すごいものを目にしてしまった」

劇場を出て寒空の下に出たときに、喧騒の中でそう思った。

ノンバーバルパフォーマンス「ギア」を観劇…いや、目撃してきた。

 

コンビニで数年前にフライヤーを見てから「いつか行こう」と先延ばしにしてきた観劇だった。今年の目標の「観劇回数を増やす」キャンペーン第一弾。「やりたいことは最短で実行しよう」と居酒屋の帰りにローチケの発券に飛び込んだ。コンビニが24時間営業で本当に良かった。

 

これは観劇ではない、目撃だ、とラスト近く、ドールのシーンで思った。

それほどの衝撃だった。

 

各方面のプロがロボロイド四人とドール、それぞれのパートを演じる。

…簡潔に説明するのは苦手なのでとにかく以下の公式ホームページへ。

京都の感動エンターテイメント ギア-GEAR-

セリフのない舞台だが、息つく暇のないほど観客は次の展開を待ちわび、好奇心が次から次へと湧いてくる。言葉がないからこそ、私たちは演者から目が離せなくなる。そして目が離せなくなるほど、演者のスキルが高い。気づいたときには観客席の人々が好奇心旺盛な子供に戻っている。たくさん笑い、たくさん驚き、たくさんの感情を「まるでそれらの感情を初めて知ったかのような感覚で」それぞれ手に持っている。いつのまにかどこかに置き忘れた「生きる喜び」をドールやロボロイドを通して新たに自分自身に落とし込まれた気分だった。

 

まだ目撃したことのない人には「何も考えずにとりあえずあの場に存在して、目の当たりにしてほしい」と言いたい。がちがちに前情報を入れずに「なんか京都の劇場ですごいことやってるらしいぜ」くらいのノリで行ってほしい。だからここでもあらすじ等は公式のホームページのリンクを貼るくらいでとどめたい。

 

ただ抽象的に感想を述べるとするなら、「白が一番輝いているかもしれない」ということ。あるシーンになったときに、きっと気づいてもらえると思う。本当はもっともっと細かいところまで「あそこはこう思った」「めちゃくちゃ笑った」「びっくりした」と言い尽くしたいのだけど、そうじゃない、ネタバレするものじゃなくて、とにかく目撃してほしいと思った。

 

これまで微々たるものではあるが、いろいろな舞台を観てきた。いろいろなことを感じ、それぞれ考えさせられたけれど、「あ、私、生きてたわ」と冬の曇り空を見上げながら思った舞台は初めてだった。「そういえば、忘れていたけれど、私生きていたな」と。

 

きっと回数を重ねたり、違う演者の違うパフォーマンスを観たりしたら、自分を投影する対象が変わって、違う感想を抱くのでしょう。次はいつにしようとスケジュールを確認する連休二日目の夜更かしでした。京都観光の際は、ぜひ。