そして僕を手放さずにいて

アイドルオタクのときめき備忘録

映画

「私が生きていくこと」って「周りの人たちと生きていくこと」だという話〜映画「梅切らぬバカ」を観て〜

生きている以上、何かを成し遂げなければならない、命を燃やして夢を実現せねばならない。きちんと誰にも迷惑をかけずに、真っ当に生きなければならない。心のどこかに、そんな呪いがあった。 幼いころ大人から尋ねられた夢はキラキラとしていて、偉大で素晴…

久しぶりに、深呼吸をした。〜映画「あのこは貴族」を観て〜

ひんやりとした4月の夜の空気を、肺いっぱいに取り込んで、私は一駅分、歩くことにした。どうしても、自分の足で歩きたかったから。 映画を観た。とても丁寧で繊細な映画だった。 たぶんSNSで流れてきたんだと思う。なんだか映画館に行きたい気分だな…と思…

映画館がなくなるのは困るのです。だってレイトショーが好きだから。

突然ですが、レイトショーのご経験はありますか? 私レイトショーが好きなんですよね。 映画館で映画を観るということ自体が私にとってはイベントで、私にとって日常のなかにある「ちょっとだけ特別なこと」のひとつです。例えていうなら「今週は仕事めちゃ…

私がミニシアターを好きな理由

幼い頃、映画館は少し薄暗くて怖かった。 その時々で母だったり祖父だったり、叔母だったりしたが、少しでもそばを離れるのが怖かった。 だけど薄暗い建物に入った先で絶対に面白いことが待っているから、ちょっぴり悪いことをしている気分でドキドキした。 …

狐と狸、確かさと不確かさ〜映画「嵐電」を観た〜

私が毎日乗る電車は、住宅地を抜けて走る。 大概はこれといった大きなホームがなく、無人駅で、ちょっとだけ寂しい。家なのか、道なのか、線路なのか。境目が分からなくなる。 境目がわからないまま電車に乗ると、晴れた日には多くの家が布団を干しているの…

ドレスという戦闘服を着て、品性と知性を味方にして 〜「ディリリとパリの時間旅行」を観て〜

実家の長野市に帰省すると寄るのが「相生座」 権堂アーケードの中にある、現役で興行のある最古の映画館。シネコンも楽しいけれど、ミニシアターや名画座の雰囲気ってなんとも言えず好き。入り口で紙コップでお茶くれるところも暖かいなと思う。 母と買い物…

そう、それは呼吸をするように。〜映画「カランコエの花」を観て

人ってきっと、呼吸をするように、誰かを好きになって、たまらなく幸せな気持ちになるんだと、幼い頃は思っていた。 世間で言う「大人」になるにつれて、それがなんと難しいことなのかと思うようになった。家族だけでなく同僚や上司、友人同士でも話題になる…

「ラストホールド」と見知らぬおじいちゃんのお話

どうもこんばんは。正真正銘のアラサーを迎えました。「長すぎるモラトリアム」ことたんぬです。誕生日当日は完全なるオフ。その前夜「なんか無性に夜更かしして楽しいことをしたい!」と仕事終わりに上映時間を確認し、レイトショーへ。最近レイトショーの…

「坂道のアポロン」の臨場感の話

私は長崎がとても好きだ。 初めて行ったのが高校の修学旅行で、そこから街の持つ多様な異国感がとても好きだ。 あまりにも好きが募りすぎて、大学の卒業旅行でも、周囲が海外に飛ぶなか春松竹の合間に長崎にみっちり三泊した過去がある。帰りの空港で友人に…