私がミニシアターを好きな理由
幼い頃、映画館は少し薄暗くて怖かった。
その時々で母だったり祖父だったり、叔母だったりしたが、少しでもそばを離れるのが怖かった。
だけど薄暗い建物に入った先で絶対に面白いことが待っているから、ちょっぴり悪いことをしている気分でドキドキした。
(地元にある現役最古のミニシアターの相生座が私の故郷の自慢のひとつです。)
中学生の頃、私の住む田舎町にもシネコンができた。綺麗で大きくて、色んな映画がやっていて刺激的だった。建物のそばを通るだけでポップコーンの香ばしい香りがした。田舎町の中高生にとって、そのシネコンに行くのがテッパンのデートコースだった。
でもそれでも私はミニシアターが好きだった。
「なにが?」と言われても「上映される映画は好みがあるし…」と思う。その特色が好きなのもある。相性が合えばミニシアターは城になる。と私は思う。
でも、色々と考えてみると、私はミニシアターの「同士感」が好きだったりする。
上映前の「この映画待ちですか…いいセンスしてますね…」な雰囲気や、上映後の独特な余韻が伝播するところが好きだ。あくまでもそれを雰囲気で感じるのが味噌で、見ず知らずの人たちが扉から出るなかでその余韻を噛み締めているのがいい。しずしずと歩きながらひしひしと伝わるその感情の伝播が好きだ。
もちろん友人同士で鑑賞している人たちの会話をこっそり聞くのも楽しい。心の中でにやけている。たまに顔に出ている。
それはそのときだけのサークルや部活のようで、好きな時に好きなことをするために集まった仲間のような雰囲気で、会話を特にしなくてもいいのが気楽だったりする。
シネコンのように沢山の映画を沢山の人と共有したいときもあるし、ミニシアターのように、同士との無言(でなくてももちろん良い)の交流をしたいときもある。作品によってもまた違う。だから私はやっぱりずっとミニシアターという存在を大切にしていきたい。
ただでさえ逆風だった最中、可愛い名前で容赦のない感染症のせいで更に逆風が吹いています。色々な支援が出てきているので、自身にぴったりの支援を探してなにかしらしていけたらなと思います。私はまず電車の中で署名をしました。
キャンペーン · #SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクト · Change.org
「死ぬときは劇場か映画館の座席がいいなぁ」と言ったら、母から「好きだからって理由なら是非やめなさい」と叱られたことのある私でした。