そして僕を手放さずにいて

アイドルオタクのときめき備忘録

星たちのなかに王子さまがいることを、知っている人へ

年末に用事があって久しぶりに街中まで出た。

用事をあれやこれやと済ませて、最寄駅までの道中、ふらりとある雑貨屋に立ち寄った。本当に、なんとなく。数年ぶりに吸い込まれた。静かな店内の壁際。広めに展開された棚を見て、私はある人を思い出していた。

 

星の王子さま」といえば「大切なものは、目に見えない」など印象的で忘れたくない言葉をさらりとこちらに投げかけてくれる名作であり、その独特でかわいらしい挿絵は様々な形で商品展開がされているほど、多くの人々に愛されている作品だ。

私は棚に並べられたたくさんの「星の王子さま」たちを眺めながら、少年忍者の川﨑星輝さんのことを思い出していた。

 

 

今年1冊目の本として「星の王子さま」を選んだ。幼いころから何度も読み返していたけれど、なぜか自宅の本棚にはなかった。その後実家の本棚にあることが分かったけれど、これを機に自分用に文庫本で買い直した。

 

無垢で素直で、こちらの質問には答えないのにたくさん質問を投げかけてきて、だけど真理をつき物事の本質は逃さない、そんな「星の王子さま」は私にとっての「星輝ちゃん」だった。名前にお星さまがついているのもあって。まぁそれが大きい。

 

私は星輝が「ラジオをやりたい」と言ってくれるのはとても嬉しくて、いやまあかわいいお顔が見たい気持ちもあるけれど、話すことの技巧がより試される場を目的地にする、玄人向けの分野をあえて選ぶ心意気に感心するし、あとシンプルに低くなってきた星輝の声っていいなぁと思っている。まだまだ裏返るときもあるけれど、Island TVでの少しオフ寄りの状況だと、普段より低めで落ち着いた話し方になるのが魅力的だなぁと思う。「この声で朗読劇とか聞いてみたいなぁ…」それはうっすらと勝手に描いていた願望だった。

 

ドラマ「文豪少年!」に少年忍者から12人が各話の主演をするという発表がされた。

まさか少年忍者がここでピックアップされるとは!と狂喜乱舞したが、嬉しい発表であると同時に、それはとても残酷だった。22人グループから12人。人数が多く若いグループは、様々な場面で制限が出てくる。それは今までだって何度も、何度も経験してきたはずだった。それでも残酷だと、毎回思う。

だけどそれでも少年忍者の最大の武器は「手札が多いこと」だと思っているし、全員が選りすぐりで、場に応じて最適解の戦いができると常日頃から思っていた。

しかしそこで私は自分のなかに「代表する」「選択する」という行為が当たり前になっていたことに気づいてしまった。それはグループである時点で致し方ない問題ではある。しかし母数が多いと言うことは同時に「選ばれない可能性が高い」ということでもある。

 

 

「星が美しいのは、目に見えない花がひとつあるからなんだ」

「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しもっているからだよ」

星輝の好きなところのひとつが素直に言葉にできるところで、周りのお兄ちゃんたち(実兄も含)の仕事ひとつひとつを素直に喜び「かっこいい」「すごい」「ここが好き」と褒められる。そして「羨ましい」「ファンになって」と素直に言えるかわいらしさ。それらってなかなかできないことだと大人でも思う。例え「そこだけ見せている」としても。

 

「夜になったら星を眺めてね。ぼくの星はとても小さいから、どこにあるか教えてあげるわけにはいかない。だけどそのほうがいい。ぼくの星は……星のうちのどれか一つだということだから。それできみは星全部を眺めるのが好きになる。星がみんな友だちになるよ。」

そして王子さまのこの言葉を聞いて、私はハッとした。勝手に様々な「選ばれる」「選ばれない」に軸を揺さぶられて、勝手に一喜一憂しているだけで「私が少年忍者を好きな理由」をすっかり忘れていたんだ。

確かに担当は居る。しかもここまで星輝の話をひたすらしておいて皇輝のオタクというまさかの展開なのだけれど(笑)

好きな人がその星たちのなかに確かに存在していて、そこに懸けている。だから私は「少年忍者」をこんなにも好きなんだと思う。

私にとって「少年忍者」であるひとを好きであるということは「少年忍者」である人たちのことも大切になるということだ。

私自身が忘れないように、ここにそう書き残しておく。

 

「あんたのバラがあんたにとって大切なものになるのは、そのバラのためにあんたがかけた時間のためだ」

「人間というものはこの真理を忘れているんだ。だけど、忘れてはいけない。あんたは自分が飼いならしたものに対してどこまでも責任がある。あんたはあんたのバラに責任がある……」

何も知らなければ、飼いならさなければ、きっと「たくさんの星」のままだったと思う。でも今は違う。ひとつひとつの星たちが、誰かにとって唯一無二の星たちで、そのたくさんの「誰かたち」がその星たちを眺めて嬉しくなったり不安になったりしているのを知っている。それが「大切にする」ということだということも、実は知っている。ほとんどの時間、忘れて過ごしているけれど。

 

これから先たくさんのことが起きるだろうし、不穏な動きも未知な動きも既にたくさんあるし、おそらく毎度毎度懲りずに一喜一憂してしまうんだろうけれど、それらも全て「大切にする」ことに帰着していけたらと思う。

 

身勝手な私は、星輝の声が実際にラジオで聞きたいと思うし、星輝の声で朗読劇も聞いてみたいなと思う。あの暖かくて穏やかな声で、優しく「星の王子さま」とかどうだろう。ラストシーンはきっと少しだけ、声が裏返ってしまうんだろうな。